記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

放送大学博士後期課程と学位取得 その2

放送大学修士課程に進学するきっかけを作ったある出来事がある.年齢は50歳を迎える直前で,担任を外れて級外として算数のTT(ティーム・ティーチング)要員をしていた時の話である.算数の少人数TTの時間に,よくできる児童たちに,私立中学校の入試問題を与えた.私立中学の入試問題なので,教科書に載っているような基本的な内容ではなく,地方の公立小学校の児童にとってはかなり難しいものであった.児童の思考がぴたりと止まってしまったので,理解した題意をもとに絵にするように指示したところ,それすら誰もできなかったことで,児童の理解とはどのようなものなのかということを知りたくなった.これがきっかけである.

別の日,授業に向かうために階段を登りながら,どのような手立てを使えば児童の事柄に対する理解について知ることができるかを考えた.その結果,言語(言葉)の概念を絵と別の言語で説明させると良いのではないかと考えて,理科の教科書に載っている言語を板書し,その概念を絵と言語で書かせた.すると,よく捉えられている言語と,ほとんどの児童が全く理解していない言語があることに気づいた.時間はかかるが,事前に調査すると児童らが理解している様子が分かり,自分の授業で発する言語に修正を施すことができた.

この経験が放送大学進学の原動力となり,英語の長文読解は別として,入試時に提出する研究計画の内容に生かされ,「小学校における学習要素のイメージ化と学習効果に関する研究」という題目で修士論文を書き上げることができた.(続く)