記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

ちょっとひと休み~記憶再生マップについて~

【はじめに】 前回の書き込みからちょうど一か月となりました. お読みいただいている皆様に感謝しております. ここまでは,過去の実践研究で得られた結果をもとに,記憶再生マップを学習で利用することの効果について書いてきましたが,ちょっとひと休みし…

記憶再生マップの効果⑩

8月7日は立秋です. 昔は,お盆を過ぎると秋の気配を感じたものでしたが,今はいつまでこの猛暑が続くのか心配になるくらい毎日が暑すぎます.理科室の管理をしていますので,メダカの水槽にはいつも注意しています.理科室の気温は,この時期なら平均34℃程…

記憶再生マップの効果⑨

あっと言う間に梅雨が明けた感じです.理科室での授業は,30℃を超える中,児童には水筒を持参させ,いつ飲んでも構わないと許可を出しながら行っています.熱中症にならないような工夫も,そろそろ限界ですね. さて,今回は児童Bの箇条書き(a)と(b)です.こ…

記憶再生マップの効果⑧

今年の梅雨は,短いのかも知れません.毎日,暑い日が続いています.私が勤める小学校を含め武雄市の全部の小学校では,理科室,音楽室,図工室などの特別教室には,未だにエアコンが設置されていません.それなのに多目的室と呼ばれる教室には,エアコンが…

記憶再生マップの効果⑦

5月に運動会を行う学校が増えてきました.本校も5/22(日)が運動会でした.このところ5月に行っても,夏休み明けに行うのと同じように暑い日が続き,5月開催の意義が薄れているようです. さて,今回も記憶再生マップの効果について紹介します. これは,「記…

記憶再生マップの効果⑥

今回は,前回のBさんの記憶再生マップとそれを見ながら書いた箇条書き(b)についてです. 何をするかと言えば,箇条書きは順番に書かれたものですから,Bさんが記憶再生マップをどのような順で見たかということを検証してみます. 次の図の記憶再生マップに付…

記憶再生マップの効果⑤

今回も前回と同様に記憶再生マップを描くことで,記憶想起のみで書いた箇条書きよりも深い内容を書くことができることを自己組織化マップの結果を示しながら説明します. Bさんの箇条書き(a) 1.台風の目の下は晴れている。 2.台風は,大雨を降らせたり,強風…

記憶再生マップの効果④

前回の書き込みからもうすぐ1か月になります. さて今回は,記憶再生マップの効果④ということで,1人の児童の箇条書きをKH Coderの自己組織化マップ(SOM)でテキストマイニングした結果についてです. ただ,しだいに話が込み入ってきます,ご了承ください.(…

記憶再生マップの効果③

前回の書き込みを多くの方に読んでいただき感謝しております. 今回は,記憶再生マップの効果③です. 今回から読み始めた方に,簡単に記憶再生マップの紹介をします.記憶再生マップとは,自身の記憶にある内容を描いて表現するものです.その際,教師から提…

記憶再生マップの効果②

あっという間に前回から1か月です.この間,学会に投稿した論文が,分かりづらかったらしくリジェクトされて来ましたので,分かりやすく書き直していました.(^ ^;) さて,今回は,記憶再生マップの効果②として,これまでの知見を整理して分かりやすく紹介し…

記憶再生マップの効果①

児童が学習内容を理解したかどうかは,指導者にとって最も興味深い内容です.一般的には,1時間(小学校は45分)の学習の終わりには「分かったこと」と題して,箇条書きなどで児童にまとめさせることが多いと思います.教師は児童のノートをチェックすることに…

児童の誤概念の修正の実際

今回は児童の誤概念の修正についてです.実は,ついこの間も私が武雄市の市教育研究大会の理科部会で,児童の概念形成過程を記憶再生マップでおこなったとき,3名の児童は自分の誤概念に気づき修正したと言っていました.これまでの実践で得られた誤概念修正…

児童の誤概念の修正について

今回は児童の誤概念についてです. 学校の教員ならば,評価テストを行いその結果に様々な思いを持ったことがあると思います.小学校では,テスト業者が作成した評価テストを購入しています.テストはカラーで印刷され,視認性もよく,児童が学習によって学ん…

記憶再生マップのノード数と概念化の関係について

8/28(土),29(日)に学会の年会が終了しました. ブログの更新をサボって1か月半です.(こりゃいかんと思っています・・・・) 今回は,記憶再生マップのノード数と児童の概念化の度合いの相関について書きたいと思います. これまでの記事で記憶再生マップに…

記憶再生マップの読み方について

いつもお読みいただきありがとうございます. またまた,前回からの書き込みから1か月です.この間,学会の年会発表原稿を仕上げたり,次の投稿原稿を執筆したりしていました. 今回は,私が大学院博士後期課程時代に書いた論文を読みながら,記憶再生マップ…

手がかり再生とエピソード記憶について

またまた前回の書き込みから時間が経ってしまいました.この間,学会の年会資料の作成を行っておりました.まだまだ時間がかかりそうなので,一旦こちらの記事を書きます. 今回の記事は,手がかり再生における再生内容(エピソード記憶)の話です.何らかの手…

教師の発話の留意点③

今回で教師の発話に関する話題は終了です. 論文からの引用は,「児童が概念形成できない言葉の心象が,その言語と関連したスキーマに含まれる別の言語の追加発話で,呼び起こされることを確認した」というものです. 論文で挙げた具体例は児童に対して教師…

教師の発話の留意点②

今回も発話する上での留意点について紹介します. その部分を論文から引用すると,「大半の児童の記憶痕跡にある指導内容に関連した心象を表す言語は,児童の誤概念を修正できることが明らかになった」ということです. 小学校の授業では,児童の持っている…

教師の発話の留意点①

新年度になって異動しました.新しい学校は,武雄市立北方小学校で,またまた理科専科ということで理科の指導を行います.ありがたいことです(^^;) さて,前回の書き込みから約1ヶ月になろうとしていますが,肝心の論文で示した教師の発話について知っておい…

ひと休み~日本の学校教育を考える~

このブログは,教育実践の結果から分かったことを,分かりやすく紹介していますが,今回は初等中等学校で勤務する多くの教員が感じていることを書きます. 先日,UNEXTで「小さな恋のメロディ」という映画を見ました.マーク・レスター,トレイシー・ハイド…

記憶再生マップとテストの成績

これから5枚の記憶再生マップを見てもらいます.全てこれまで提示したマップと同じ授業時間に書かれたものです.この後,市販の評価テストを行いましたが,それぞれのマップを書いた後の児童の成績が気になります.点数は公表しませんが傾向だけ紹介します.…

児童によって変わる記憶再生マップ②

ある単元の授業が終わり,児童に記憶再生マップを描かせるとき,必ずしも児童のモチベーションが高まっているとは限りません.次の記憶再生マップは,そのような児童が描いたものです. 児童が描いた記憶再生マップ3 この児童は,普段は積極的に学習に取り組…

児童によって変わる記憶再生マップ

今回は,色々な記憶再生マップを紹介します. これは,前回と同じ授業で別の児童が作成したものです.記憶再生マップには,正解がありません.それは,児童がその時点で持っている概念を児童や教師が確認するためだからです. 児童が描いた記憶再生マップ2 …

児童は自分の誤概念を修正できるか.

今回のテーマは,誤概念です. 教育現場では,児童・生徒や教師もけっこう気になる内容ですね.児童・生徒にしてみれば,見えない(見てない),聞こえない(聞いていない),考えられない(考えていない)などの条件によっては,誤概念が形成されます.きちんと授…

児童の書いた内容から,記憶の種類を探る②

今回は.児童が授業で行うマッピングを紹介しながら,児童が記憶している知識を見ていきたいと思います.まず,このマッピングですが,様々な教科等で行われているマッピングとは異なります. 記憶再生マップ このマッピングは,学習した結果として記憶にあ…

児童の書いた内容から,記憶の種類を探る①

前回から1か月以上過ぎてしまいました.(^^;) さて今回は,「児童の書いた内容から,記憶の種類を探る」というテーマでお話ししたいと思います.まずは,記憶の種類です. 多くの論文等に引用されているのがこちらの図です.もちろん,これは原図のデザイン…

「お寺の」という言語のすごさ

再び言語の話. 成層火山のイメージは「富士山の形」という言葉で全員が正しい絵を描くことができました.やはり日本人の誰もが,富士山の形についての概念は持っているようです.でも,児童一人一人がどこでそれを獲得したかは不明です.少なくとも,小学校…

正しい概念を想起させる言葉

「たてじょうかざん」という発話によって,児童は縦に長い火山を想起しました.実際は,何もイメージできなかった児童もいました.つまり「たて」の意味を解決できなかったのでしょう.しかし,これらの児童の困惑は理解できます.小学生を相手に授業をする…

言葉によって異なる概念

ずいぶん前の話ですが,ある小学校で理科の授業をしていた時のことです.指導内容から少し外れていたのですが,たてじょう火山,せいそう火山,しょうじょう火山の大まかな形を児童にイメージさせることが目的でした. 「たてじょうかざん」と発話した場合,…

伝わらない言葉 小学生の言語理解

博士課程の話が完結して1か月以上が経ちました.この間,別にサボっていた訳ではなく,小学校の理科専科教員としての通常業務や大学の先生との共同研究,それに修士論文を書かれている先生の指導などがあってこのブログを書く時間がなかったのです. ところ…