記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

児童・生徒の「なるほど」を育むために:概念形成と自己確認の重要性

 い~,地球が逆方向に公転し始めたかのような夏再来・・・・・・.

 学校も暑くて,大変でしょうね.私が理科専科をしていた2年前は,特別教室にはエアコンが設置してなかったので暑くて授業がやりにくかったことを思い出します.

 

 そう言えば,私の大学院である放送大学リポジトリ2日程利用できなかったのですが,アクセスランキングやダウンロードランキングの直近1年間の集計値が,正確に表示されるようになりました.

https://ouj.repo.nii.ac.jp/items/ranking

 

 このブログで利用している博論は,2023.11から9か月連続でアクセスランキング1位となっています.アメリカをはじめ世界中からのアクセスが確認されています.

 詳しくご覧になりたい方は,上のリンクからご確認下さい.

 

 まぁ,論文なんで,youtubeなどのアクセス数とは単純に比較はできませんが,評判は悪くはないようですね.ダウンロード数も,直近1年間の数で2115となっていますが,2018年から通算すると3415のようです.

 

 て,今回も,「学習者の概念形成における一般的な現行授業の問題点」の続きです.

 私は,2つ目の問題点として,「学習指導過程における児童・生徒の概念形成の問題」を取り上げて論述しています.(p15)

 

 問題点(2) 現在の学校教育の指導システムでは,児童・生徒が自己の概念を確認し再構築することはほとんどない.

 児童・生徒が学びを経験して,自身がどのように理解しているかなどを確認する学習行動が,現在の指導システムでは設定されていない.

 

 ここで指摘したのは,学習者には授業内容の意味や得られた結論の吟味をする時間が必ず必要だということです.

 

 児童・生徒は,授業の学習行動を経て何かを理解していきます.この理解に際して,おそらくは「納得」という心的過程があるはずです.この納得は,自分が考えたことに「それでよい」と,考える学習行動に区切りをつけることです.博論では,「内なる納得」と呼んでいます.

 

 そこで先生方にお尋ねしたいのですが,児童・生徒は,授業のどのタイミングで先生のご指導される内容を理解するとお考えになって授業をなさっていますか.

 

 別の言い方をすると,児童・生徒は授業のどこで「なるほど」と感じたり,「やっぱり」と思ったり,「自分の考えは間違いない」と自信を持ったりしているのでしょうか.

 

 例えば,児童や生徒同士の話し合いの中で・・・だったり,

 

授業の終わり頃のまとめを行うタイミングで・・・だったり,

 

あるいは穴埋め式のノートに自分が答えと思う言語を記入する中で・・・だったり,

 

あるいは,授業の感想を書く中で・・・だったりと様々ですね.

 

 ひよっとすると,「教えることに一生懸命で,そのようなことは考えたことはありません」と仰るかも知れません.実際,過去にそのように言われた先生もおられました.

 

 しかし,是非とも,児童・生徒が授業の意味を分かり,全員で頑張ってまとめた内容が理解できるような時間を用意してあげて欲しいと思います.(これは,授業ごとにです)

 

 の写真は,生成AIに作らせたものです.

 

思考する児童たち

 いったい何をしているところかは,お分かりになると思います.

 

 ノートを開き,鉛筆を持ったままノートを見たり(右上),ノートから目を離して,ある一点を見たり(残り5枚)しています.これは,自分一人で思考する姿です.

 

 ちなみにAIに指示したプロンプトは,「教室の椅子に座り,ノートに考えを書いたり,自分の考えを直視したりしながら,雑念を排して集中して思考する日本人の児童」でした.

 

 AIは,このプロンプトによって,これらの写真を生成しました.

 と言うことは,「椅子に座りやノートに書く」というプロンプトを除けば,「自分の考えを直視し,雑念を排して集中して思考する」というプロンプトの結果が,彼らの視線と表情であると考えられます.皆さんも思考する時には,空(くう)を見つめることはありませんか.

 

 このように思考する場合,一人ひとりが必ず自身の知識を利用する必要があります.獲得した知識から概念形成を行うためには,何度もこの知識を記憶想起し再度吟味する必要があるのです.

 

 しかし冒頭でも述べましたが,現在の学校教育の指導システムでは,児童・生徒が自己の概念を確認し再構築することはほとんどありません.ですから単元の学習後には,児童・生徒が記憶想起を行う場面を設定することをお勧めします