記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

質問に答えます(2/4)

 皆さん,こんにちは.

 前回はスキーマがスロットを持っていることについて紹介しました.今回は,ある先生から次のような質問を受けましたので,その質問に答えたいと思います.

 

 質問スキーマについては,徐々に分かりつつあるのですが,これらをどのように教育に生かしていけばよいのですか.」

 

 回答「確かにこれらの知識が,今なされている教育現場で直接利用される訳ではありません.スキーマは,児童・生徒ひとり一人が持っている知識構造の姿と考えて下さい.もちろん,それらは今後,脳科学分野等の進歩があっても直接見ることはできないでしょうが,記憶再生マップを描かせることで,ある程度推測はできます.

 

 例えば,このブログの過去の書き込みでも紹介した小学校5年生理科の「もののとけ方」という単元を例に考えてみます.次の記憶再生マップは,5年生のある児童が描いたものです.このマップを見ると,中心ノードが「もののとけ方」という単元名になっていますが,これが「ピクニック」と同列であると考えられます.つまり,この図はこの児童の「もののとけ方」という単元学習のスキーマを表している考えます.

 従って第1ノードの「とける」,「重さ」,「とりだし方」,「とける量」がスロットと同列になりますが,これは教師が指定し提示することになっていますから,スキーマのスロットを教師が決定することで教育的な指導になるのです.また児童は,スロットの内容を確認して,続けて特定のエピソード(任意値)を描いているのです.

 

 前回のピクニックもスロットは,ほとんどの人で共通の内容であると考えられることから,違和感なくルメールハートとノーマンの図に納得できます.

 

 このように考えると,ここで知ったスキーマの考え方を教育に生かすとは,教師の指導する内容を児童が学んだ時に,どのような知識構造のスキーマを構築できればよいかを考えることであると思います.」

 次回は,スキーマの特徴③と④です.

 今回もお読み頂きありがとうございました.