記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

児童によって変わる記憶再生マップ②

 ある単元の授業が終わり,児童に記憶再生マップを描かせるとき,必ずしも児童のモチベーションが高まっているとは限りません.次の記憶再生マップは,そのような児童が描いたものです.

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児童が描いた記憶再生マップ3

 この児童は,普段は積極的に学習に取り組むのですが,このときはあまり学習をしたがらない様子でした.

 一見,あまり詳しく描かれていない記憶再生マップです.教師が提示した中心ノードと第1ノードを省けば,最初に描いたのは,「水∔薬=水溶液の重さ」というリンクと,「塩-50mL 20mL(それに不明2文字)」,「冷やす-(実験の絵)」の3つだけでした.「最初に」というのは,記憶想起のみでという意味で,赤ペンで描かれている部分は,教科書やノートを参照しながら追記した部分になります.

 記憶再生マップは,最初は記憶のみで描き続け,どうしても思い出せない状態になったら,教科書やノートを参照しながら描き続けるという決まり事があります.

 さて,この児童の記述を見ると「水∔薬=水溶液の重さ」の部分が気になります.それは正確ではない表現だからです.しかし,そのことはこの児童に対する指導の箇所を示してくれているのです.ですから,「水+薬の部分は,水の重さ+溶かしたものの重さということですか.」と問いかけを行うことで,概念の修正ができると考えられます.

 前々回に紹介した児童の記憶再生マップは,大変よくまとめられていましたが,「重さ」からのリンクは描けていませんでした.

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児童が描いた記憶再生マップ

 この児童は,教科書を参照して描き足しているのが赤ペンの記述で分かります.「もののとけ方-重さ」という言語からの文脈が分からなかったということです.実は,この「重さ」を第1ノードのトピックにしたのは,文脈を読み取るのが難しいと考えたからで,ここを記述できる児童がどれくらいいるかを知りたかったからでした.結果は,ある程度の内容で記述できた児童が30名中8名でした.

 さて,初めの児童の記述にもどると「水∔薬=水溶液の重さ」となっており,教師が提示したノードのつながりから文脈を読み取っているのが分かります.正確な表現でないにしても,水の重さと溶かしたものの重さを足すと水溶液の重さになるという表現であることが推測されます.

 その他,「塩-50mL 20mL(それに不明2文字)」は,塩を水50mLに溶かす実験では,20gは溶けなかったということを表現しているようですが,確認したところgでなければならないのにmLと書いてしまったようです.

 この児童はその後の評価テストでは満点を取っています.もし,モチベーションが高い状態で記憶再生マップを描いたなら,もっと詳細なものが描けたと考えています.

 今回はここまでです.次回も,特徴的な表現を見ていきたいと思います.ここまでお読みいただきありがとうございました.