記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

もう一度,記憶を再生することについて考えてみよう.その③

 やっと退院しました.10日間の入院でした.入院中の食事は,ほとんど全粥だったので若干のダイエットになりました.しかし,粥が嫌いになってしまいました.

 

 さて,ここでの問題は,直前の授業で何がなされたかをきちんと記憶想起させているかどうかです.なぜなら,人は考えるときに自身に向けられた言語の内容を理解し,その関係事項を想起しようとするからです.そうでなければ,会話が成立しません.

 

 

 もし,記憶想起をせずに唐突にある事象を示しても,関係性のある過去の事象や経験の記憶を呼び起こせない児童には,何のメッセージも伝わりません.つまり,「それ何?」という心情しか生まれません.

 教師が,この指導案の1をクイズ的な,つまり,前の授業が理解されているかを確かめるために,面白おかしく最初の学習行動として行ったとしても何の意図があったのか,私には理解できません.それでも,もしかすると,理解力のある児童が,『前の時間では,コイルの巻き数が多いほど,電磁石が鉄を引き付ける力が大きかったので,先生が提示したように,乾電池の数が多いほど引き付ける力も大きくなるのではないだろうか』と考え,2のワークシートに見事な考えを書くでしょう.しかし,理解力に問題のある児童らは,前回の授業も想起できずに,コイルの巻き数に関する授業とは全く関係のない,新たな学習と思い込んでしまう可能性もあります.

 そうではなく,1の前に0として,前回の学習を丁寧に記憶想起させることを行い,電磁石が鉄を引き付ける力は,コイルの巻き数が多いほど大きいという関係性を黒板に明示した後,関連のある事柄として巻き数の同じ2つのコイルに,片方は多くの釘が付いている様子を提示し,もう片方は少しの釘が付かない様子を提示すればいいのではないかと思います.

 そのようなことを行った後に,「隠されたところの秘密は何だろうか」などと呟くと面白そうですね.以前も言ったと思いますが,学習は連続したストーリーで構成されていますから,それを意識した授業を行うためには,授業の始まりは前の授業の話で盛り上がれば,全ての児童の意識がReadyとなります.

 

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