記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

授業における知識の形成過程 その⑨

博士にまつわる話題

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記憶再生マップを使ってみませんか? - 記憶の再生について考えるブログ (kiokusaisei.com)

 

 いつもお読みいただきありがとうございます.

 ブログの冒頭に,「博士にまつわる話題」というリンクを張っておりますが,目を通して頂けましたでしょうか.現場の先生方が,もっと学位取得に興味を示されるといいなと思います.

 さて前回の最後に,今回は記憶再生マップを描く時の脳内についてと予告していましたが,現在行っている大学の講義がまだそこまで進んでいませんので,今回のテーマを変更させていただきたいと思います.申し訳ありません.

 今回は,学習の最後に感想を書かせる場合についてです.この感想は,児童・生徒自身が学習を振り返って「まとめる」という意味の感想での自由記述になります.従いまして,教師側からの指示は特にありません.また,この感想は前回も書きましたが「学習の初めに前時のまとめを行う場合」に利用します.

 例えば,児童の感想は次のようなものになっています.

感想A

感想B

 

 これらのデータは,私が2023年に実際に授業を行い児童に書いてもらったものです.この後,読み進められる場合は,次のリンクからこのデータ群についてご確認されることをお勧めします.対象は佐賀県の小学4年生です.

 

www.kiokusaisei.com

学習の最後に感想を書かせる場合の記憶等の仕組み

 学習内容を正しく記憶するためには,学習行動のエピソードを正確に記憶想起することが最も重要です.学習行動の正確な記憶想起によって,気づきが生まれます.感想Aは,その代表的な例で,4年生が自分の予想と違う結果に驚いています.つまり情意面で,とても良い体験をしたと考えられます.心が動く体験は,強い記憶となります.

 

 このような授業の終末の感想書きでは,教師はつい「分かったことを書きなさい」と指示したくなりますよね.しかし,分かっていない児童が相当数いることも事実で,児童・生徒の言う「分かったこと」が,必ずしも教師の考えている「分かってほしいこと」と同じではない場面を,これまでも経験されたのではないでしょうか.

 

 それよりも,まず,授業の学習行動のエピソードを,児童・生徒がじっくりと脳内で再生させる方がよいと思います.授業のエピソードを記憶想起できない児童・生徒よりも,できる児童・生徒の方が,授業の文脈と学習内容の解を得やすいと考えられます.例えば,授業の感想書きを習慣化させておけば,めあての解釈や学習行動への関わりに注意が向けられます.私は授業中に,「後で,感想が書けるようにしといてね」などと常に声掛けを行っていました.

 

 それと,これを読まれている先生の中には,感想を紙に書かせるのか,タブレットで書かせるのかを考えられている方もおられると思いますが,どちらでも構わないと思います.記憶想起をしているときは,タイムラグなしに児童・生徒がすぐに書けることがポイントでしょう.今回は,ここまでとします.丁寧にお読みいただきありがとうございました.

 また,右サイドメニューの《これまでの記事のまとめ》に,記事を時系列で並べ替えたリンクを作成しています.読みやすいと思いますので,ご活用ください.

 次回は,授業の進捗状況で考えます.