ここで紹介する内容をざっくり言えば,理解することの科学です.
小学校の教員である私が,最も知りたかったのは,「児童の頭の中がどうなっているのか」ということで,それが分かればどのように指導すればよいか分かりそうと考えたからです.
そこで初めは,これらのことを勉強するために,放送大学の大学院(仕事をしながら学べるのはココ)で修士論文を書くことを目標にしました.結果,満足できる修士論文が書けたので,さらに目標を高く設定し,博士の学位もとることを目指したのでした.これらの過程の中で,多くの論文が生まれましたが,結局,知りたいことは今も変わりありません.
ここでは,はてなブログに掲載している内容を項目ごとに整理しています.最初は,教師の言葉についてです.
(1)教師の言葉によって,児童の理解に違いがあることを紹介します.
論文では,児童の誤概念の形成が教師の発話によって起こる場合があることや,そのようにして作られた誤概念が再び教師の発話によって修正されることを実証的に証明しています.
・伝わらない言葉 小学生の言語理解
・言葉によって異なる概念
・正しい概念を想起させる言葉
・「お寺の」という言語のすごさ
(2)理解した内容や概念の事と言えば,記憶について見ておく必要があります.
脳科学辞典の記憶の分類を参照すると,意味記憶に関しては,「知識に相当し,言語とその意味(概念),知覚対象の意味や対象間の関係,社会的約束など,世の中に関する組織化された記憶である.」と定義されています.ここを気に留めておきます.
・児童の書いた内容から,記憶の種類を探る①
・児童の書いた内容から,記憶の種類を探る②
これらの内容が記述されているのは,以下の博士論文です.
(3)学習では,間違って記憶することがあります.ここでは,「児童の書いた内容から,記憶の種類を探る②」で紹介したマッピング手法を利用し,誤概念を見ていきます.
小学校や中学校などで教員をしていると,児童・生徒の間違いが気になります.このマッピング手法で児童に描かせるマップを,我々は「記憶再生マップ」と名付けました.
児童の脳に記憶された事柄がどのように概念化(意味付け)されているかを知ることができます.そして,自らの間違った理解に気付くこともできます.
・児童は自分の誤概念を修正できるか