記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

記憶の糸を紡いで、知識の地図を描く! 知識モデルを活用した学習法~物語を学びに変える! エピソード記憶が概念形成に果たす役割~

 つもお読みいただきありがとうございます.前回は,批判的思考を話題とした内容でしたが,多くの皆様にお読み頂き感謝申し上げます.兵庫県知事選挙についても今後,まだまだ色々とありそうですが,このブログの本来の目的に戻って,皆様にお伝えいたしたいと思います.

 の情報ソースとなっている私の博論は,放送大学リポジトリで,とうとう1年間「最も閲覧されたアイテム」1位をキープし続けました.放送大学という一大学の話ではありますが,多種多様な学内で生み出された多くの論文の中で,博論という非常に厳しい条件をクリアした専門的な論文が,国内外から多数アクセス(4136件)して頂きました.

 て今回は,この博論の研究目的についてご説明いたします.と言いましても,もう既に論文は完成しておりますので,これから紹介する目的は全て達成されていることにご留意下さい.

 これまで説明させて頂いたように「確かな学力」とは,児童・生徒が新たに獲得した知識を既存の知識と網目状的に関係づけ,概念化するプロセスを通して初めて身に付けられるものと考えられます.

 た,網目状的な関係とは,学んだ知識の一つ一つが,児童・生徒自身が納得する理由によって,別の知識と意味を持って結びつくことを,児童・生徒自身が自認できる関係の事です.

 

 士論文に限らず一般的に研究論文では,研究の過程でどのようなことを為すのかという目的を書きます.これらの詳細は後々詳しくお伝えいたします.

 

 目的① 教師の発話による児童の誤概念の形成と修正

 単に言えば,授業では教師の発話によって,児童・生徒に誤概念が生じることがあるという事と,それら誤概念は教師の発話によって修正されることもあることを実践的に確かめたという事です

 ぜ言語音に関する内容を研究の最初に設定するかと言えば,児童・生徒が獲得する知識の多くが,教師の発話によってもたらされるからです.

 

 

 目的② 学習により記憶された知識や経験の表象 

 簡単に言えば,獲得した知識を,スキーマにある既存の知識や経験と網目状的に関連付けることを授業中に行うという事です

 童・生徒の学習にとって重要なことは,学習の結果や経験がどのように結びついているかを児童・生徒自身が明らかにできるようにしてやることです.従って,これまでにない新たな学習過程として,記憶を想起させる学習活動を設定し,それは想起した記憶を表象するものです.

 

 

 目的③ 知識モデルによる児童の学習評価 

 単に言えば,目的②で表象されるであろう児童・生徒自身の,その単元もしくは小単元の知識モデルは,彼らの理解を表象したものと考えられることから,学習評価として利用しようということです.

※このマップは以前のものですので,現在の指導要領に合っていない部分があります.なお,「ブラウン運動」については,授業で言及しています.

 

 目的➃ 概念形成におけるエピソード記憶の利用

 単に言えば,獲得した知識を記憶するために,エピソード記憶がどのような働きを為しているかを調査するという事です.

 

 目的⑤ 学習のまとめとして知識モデルを作成することの優位性 

 単に言えば,関連する内容を次々と想起させてつなげていくことで,自分の知識を絵的なつながりや広がりとして確認する知識モデルの表象が,自身の理解の程度を客観的に認識できるということです.

 これは目的③と④のように記憶再生マップを見て頂くと,自分が何をどの様に理解しているかを自認できるという事です.

 

 今回はここまでです.ご質問等にはお答えいたします.

 最後に放送大学のイベント告知です.岩永学長は,私の博士課程時代の主任指導教員です.佐賀にお住いの方で,都合がつかれればご参加下さい.私も参加したいと思います.