記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

児童によって変わる記憶再生マップ

 今回は,色々な記憶再生マップを紹介します.

 これは,前回と同じ授業で別の児童が作成したものです.記憶再生マップには,正解がありません.それは,児童がその時点で持っている概念を児童や教師が確認するためだからです.

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児童が描いた記憶再生マップ2

  この児童は,手がかり再生用に教師が提示した「とける」という第1ノードのトピックから,「とけない」という言語を第2ノードのトピックとして書いています.また,「重さ」という提示された第1ノードのトピックに対しては,「かるさ」という言語をつないでいます.さらに,「溶ける量」という手がかり再生用の言語からは,「少し」-「多く」という言語をつなぎました.

 一般的に手がかり再生は,手がかりとなる言語等に関連する事象等を想起することを目指しています.つまり,そこには,与えられた課題に対する文脈があることに気付く必要があります.残念ながら,この児童は教師が提示した中心ノードの単元名と4つの第1ノードのトピックのつながりから,文脈を読み取ることができていなかったということになります.また,赤色で追加した「透明」に関する記述も,「いろ」-「とうめい」-「(不明)」-「白色」と追記していますが,教師はこれを読んで意味を読み取ることができませんでした.ただ唯一,「粉」を訂正して「粒」-「水の中に広がっていく」というリンクだけは,この児童が溶解する食塩などの粒子に関して理解が進んでいることに気づきます.しかしながら,この児童の成績は思わしくありませんでした.

 次回も,同様に児童の記述を見ていきたいと思います.ここまでご覧頂きありがとうございました.