記憶の再生について考えるブログ

放送大で学位取得した古川美樹が考えたことを脈絡もなく書き綴ったものです.

正しい概念を想起させる言葉

 「たてじょうかざん」という発話によって,児童は縦に長い火山を想起しました.実際は,何もイメージできなかった児童もいました.つまり「たて」の意味を解決できなかったのでしょう.しかし,これらの児童の困惑は理解できます.小学生を相手に授業をする場合は,このようなことが常に起こります.児童の言語概念は,中学生以上の生徒に比べてかなり貧弱であるために,指導は最も難しいのです.

 「たてじょうかざん」を「縦状火山」と解した児童たちは,この2つが紐づいた状態です.しかし,盾状火山は,盾を伏せた形で,裾野が広がったあまり高くない山です.さて,このような誤概念をどのように修正したらよいでしょうか.

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 方法はいくらかあるようです.最も早く解決させるには,電子黒板に盾状火山の写真を提示し,「これが盾状火山です.」と発話するのです.

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%AF%E7%8A%B6%E7%81%AB%E5%B1%B1

 しかし,これでは「たてじょうかざん」の意味の解決ができません.したがって,「たて」は「盾」であることを伝えるべきです.そのとき,児童の記憶に「盾」があるかどうかを探ってみることも必要でしょう.比喩は,記憶の想起に有効です.一種の手がかり再生です.実際の授業では,「たては,ギリシャの兵士が持っていた攻撃を防ぐものです.」などのように発話しました.同時に手で盾を持つ格好をして,児童の想起を助けました.すると,「あ~あ」「分かった!」などの声が聞かれ,児童は記憶にしまっておいた盾のイメージを呼び起こし,「たて」という言語と盾のイメージを結びつけることに成功したのでした.

 ジェスチャー理論によれば,ジェスチャーによる非言語と音声による言語は同じ神経システムに依存していることから,発話と同時のジェスチャーは効果的と言えます.

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