記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

放送大学博士後期課程と学位取得18

2017年12月4日.

博士論文締め切りの日であった.僕は,主研究指導の先生からの10万字という指示を3000字超えて博士論文を仕上げることができた.今思えば,普通に小学校の級外として週当たり22~23時間(今となっては覚えていない)の受け持ち授業をこなし,帰宅後は毎日深夜に書き続けていたことを思い出す.様々な理由により,家庭で書きにくいときは,近くのホテルに宿泊し作業をしていた.かつて文豪が温泉湯治場に長期間宿泊し,作品を仕上げていた心境がよく理解できた数か月であった.とにかく,書くのみというマシーンのような日々であった.

さて,博士論文を提出すると次は,2018年1月20日(土)に口頭試問が予定されていた.

休む暇なく口頭試問用のプレゼン資料作りである.

10万3000字の論文を最初のページから読んではPowerPointのシートを作成するというルーチンワークを延々とすることになった.仕上がったのは1月18日(木)頃であった.ページ数は101ページ,311MB.PowerPointでこんなに多くのページを作成したことはない.1ページあたり2分の説明時間で200分,3時間以上の時間を要するバケモノ的資料となった.何も口頭試問の時間を知らなかった訳ではない.自分の博士論文を真面目にプレゼン資料にしたらどの位のページ数で説明できるかを知りたかっただけである.一度足を踏み入れたら抜け出せなくなり,口頭試問の直前までかかってしまったというのが正直なところである.しかし,実際の口頭試問の時間は30分である.従ってここから急ピッチで修正作業となった.その結果,101ページの資料が28ページになった.ただし,実際のビデオ映像を挿入したために,ファイルの容量は400MB以上となった.ただ,この資料が出来上がったのは,1月20日(土)発表当日の13:00過ぎであった.発表は,14:00~15:00であり,前半の30分が自分の持ち時間である.まさに,ギリギリの状況であった.

発表は,放送大学本部の図書館の一室を利用して行われた.僕は少し早めに部屋に入り,どのような環境の下で行われるのかを確認した.

下の写真は,発表中の様子を参観された方が写されたものである.審査の先生方が対面して座られている.

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口頭試問の様子

壁には,大きなスクリーンがありこのようにしっかりと提示することができた.

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口頭試問会場のスクリーン

発表中は流石に冷静ではなく,相当緊張していたが,発表時間は参観された先生によれば丁度30分であったとのことで安心した.たまたまであった.

発表後に審査員の先生方から質疑があり,それに対して説明を行い1時間で終了した.その後,審査の先生方は別室で協議されている間,待機しておくように言われたので部屋の前で待っていた.事前にこの流れは聞いており,入室が許可されて合格か不合格かを聞くことになるのは分かっていた.ただ,博士論文に修正要求が出て,条件付きの合格となることも知っていたので,ある程度は覚悟していた.

審査室のドアが開き,入室を許可され,審査員の先生方の前に立った時が最も緊張したが,すぐさま主研究指導の先生から合格の伝達があり,一瞬だけ我を忘れたような感覚になった.幸いなことに修正要求もなく博士論文として認められた.

全てが終わったように感じたが,不思議と嬉しさの感情はそうでもなく,淡々と帰郷の用意をしていた.ただ,参観の方から「古川博士の誕生ですね.」と言われたときは,少し恥ずかしさに似た感情があった.ご指導を頂いた全ての先生方に感謝である.

夕方の飛行機で帰郷し家族に報告して,また日常の生活に戻った.月曜日は,校内研修であった.